HMMの構造探索による音素モデルの生成

概要

本論文では,HMM の構造決定のためのアルゴリズムを提案する.音声認識で用いられる HMM の構造は,多くの場合知識や経験に基づき決定されている.しかしながら,この問題は確率モデルの構造決定問題として扱うことができる.すなわち,赤池情報量規準 (AIC) などの尺度でモデルを評価し,最も良いモデルを選択するという方法で定式化できる.簡単な確率モデルにおいては,あらかじめ複数のモデルを用意し,最ゆう法でパラメタを推定した後に AIC 等で最適なモデルを選択すれば良い.一方,HMM のようにパラメタ推定のための計算量が多い場合,効率良く,少ないモデルに対してのパラメタ推定のみで済ませたい.そのために,HMM の状態数,あるいは状態遷移を一つづつ増やしていき,そのつどパラメタ推定を行ない,AIC でモデルを評価する方法をとり,これをモデル探索と呼ぶことにする.本アルゴリズムを用いてモデルを構成し,計算機上データによる実験,さらに音声データを用いて認識実験を行ない,データの統計的性質を反映したモデルがどのように構成されたかを調べ,本アルゴリズムを用いる効果を示す.

タイプ
収録
電子情報通信学会論文誌

関連項目